官僚的な人間は、麗々しく趨勢の鎧を着る。キリストを断罪したピラトも、ソクラテスの死刑を要求したアニュトスも、赤穂浪士を切腹の庭上に追いやった荻生徂徠も、みな自分を正当と信じ、同意によって得た権力を身によろい、自己を擁護する義務があると信じている既成社会を代表していた。  彼らは社会をいまよりもさらに向上させるという美味しい口実のもとに、彼らが墨守したいと願う社会を転覆せんと謀る革新派の首を刎ねるとき、腕利きの検事と同じくらい論理的だった。