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 美を欠いた顔の特徴は、あらかた目が小さく、あらかたヒゲを生やし、あらかた正視を避ける横目を使うことである。彼らは意味不明な学術語を思想の代用品とし、怠惰を勤勉のかわりにし、業績をおさめず、厚顔無恥な徒党を組む。

 とりわけ、使う言葉と表現が曖昧不明瞭だということは困った兆候で、それは十中八九、思想が明瞭さを欠くために生じ、思想の不明瞭さはほとんどの場合その思想の誤り、矛盾、不正から発生する。難解不明、もつれて曖昧な言葉を発する連中は、自分が何を主張しようとしているかを理解していないと言ってよく、せいぜいある思想を求めて苦闘しながら、それを漠然と意識しているにすぎない。彼らは人間的な原体験を欠いているせいで、言うべきことを何も持っていない。そしてその事実を、自分にも他人にも隠そうとするため、知らないことを知っているように偽装したがり、考えたくも言いたくもないことを、考えて言っているように見せかける。

 いったい人が何か真実なものを伝えなければならない場合、曖昧な語り方を選択するだろうか。精神の貧しさは、とかく曖昧な言葉に包まれる。真実味あふれる人の言葉は理解しやすく、明晰である。真実の乏しさにつれて、発言はいよいよ曖昧になる。

 真実の不足は顔の美の欠如に比例すると考えるのは、あまりにも偏見に満ちた考え方だろうか。原体験の不足は顔の醜さに根源があると考えるのは、あまりにも穿った謬見だろうか。真実味あふれる美しい顔の人から言葉で惑乱された経験のない私の、天真爛漫な楽天だろうか。美しい顔は体験に満たされる。体験は真実の思想を生む。真実は常に明瞭である。