JUGEMテーマ:読書
 

天下の、という冠詞のつく早稲田大学に合格、おめでとうございます。日本の、でもなければ、東京の、でもない、天下の早稲田大学です。「の」 というは「〜を代表する」ということでしょう。天下にナニシオウ、というところです。努力して得た名誉ですので、大いに自慢してください。外的なプライドも、人生の必須条件ですから。

とはいえ、年じゅう申してきたとおり、肩書自慢のあとは、内実の作成に取り掛からなければなりません。内的なプライドです。学問をし、友情を築き、恋愛に没頭し、読書し、音楽に耳を傾け、映画を鑑賞し、ギャンブルにうつつを抜かし、悩み、泣き、感動し、喜びながら、ダイアモンドの現瞬の作成に取り掛かってください。

残り少ない人生の一瞬を、こうして若者の栄誉に満ちた場に立ち会ういまは、私のダイアの現瞬です。これまでもよりよき現瞬を願い、求め、手に入れようとしてきました。あるいは、あらゆる瞬間を、よりよき現瞬だと感じてきました。よい一行が書けたとき、よき友と美酒を飲んだとき、音楽や文章や映像の中に人間の本質的な悲しみを見出したとき、などなど。きょうの瞬間もそれと等価です。

この先の数年は、きみたちの思い出の中でも、きわだった宝物となるでしょう。多様な人間に会うからです。人間こそすべてです。その先に学問があり、芸術があり、文化や文明があります。人間を忘れてはなりません。制度の中の、あるいは組織の中の、あるいは階級の中の人間を忘れてはならないのではなく、自分に感銘を与え、愛を与え、ものの見方を与えてくれる個人としての人間を忘れてはならないのです。

受験生や予備校講師としてではなく、いつの日かあらためて、互いに光輝あまねき人間としての再会できる日を、次回の現瞬としようと思います。たぶんこの先しばらくは予備校にいるでしょうから、いつでも会いにきてください。いないときは、私に人間的な光輝がなくなった結果なのではなく、営利的な効率を失った結果なのだと納得して、さらなる人間探索の旅をつづけてください。

とにかく、天下の早稲田に合格、よくやりました。卒業の日まで、いや、卒業してからも、思い切り、胸の中で万歳を叫びつづけてください。叫びに疑問を抱いたときには、大隈講堂にきて、時計塔を見上げてください。大隈公の前にたたずんでください。自分が人生の豊かな現瞬を達成した感動が、ふたたびよみがえってくるでしょう。おめでとう。

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  グローバル化(みんないっしょ、みんな仲良く)という名の《流行》に取り込まれ、国家の思惑通りロボット化していく人間が増加している。 ロボットの一大特徴は、教えられたとおりのプログラムにそって体を動かすのみで、自力では思考できないということだ。

 自分でものを考えない人間こそ、《流行》の護持を図る国家の絶好の餌食となる。ものを考えたがる人間を社会的な存在として無機化するには、すぐれたプログラムが必要である。権威というアクセサリーで身を飾りたがり、物をほしがり、ラクをしたがるというプログラムを組み込んでやらなければならない。「自分でものを考えない人間にとって、教育も、それに結果する権威も、虚しいアクセサリーである」と気づかせないようなプログラミングも忘れてはならない。

 ロボットにさえしてしまえば、どれほどすぐれた啓発的な教育をほどこしても、国際的な均一化に対する怒りの基になる『疑惑』という思考活動に結びつけることができないので、無思慮な人びとの鼓腹撃壌のもとに搾取と独裁を目指す国体は揺らがないのである。

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  エピグラフは、旧約聖書の「伝道の書」。
   『すべてのことは人をうみ疲れさせる
   人はこれを言いつくすことができない』

1  笑い疲れているが、あしたも笑うであろうということ。
     ・・・・・・・・・・
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―竹内銃一郎(劇作家)―

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