JUGEMテーマ:読書

 上司が家族的で、部下思いであるせいで、社員全体の人間関係が円満な会社ぐらい、よい会社はない。金銭の問題は我慢できても、人間関係の悪いのは我慢できないからだ。
         ―『活字の世紀(精興社ブックサービス)』(田澤拓也)
 ドキュメンタリーの泰斗である田澤さんが(彼は青森高校かつ早稲田大学の後輩であり、開高健賞受賞者でもある)、愛情に満ちた偉人伝を書いた。非売品を送っていただいた。395ページの大部であった。ある恩義ある人の言行と面貌が髣髴とし、私事ながら、その人を思い浮かべながらしみじみ読んだ。
田澤さんの著作には、かならずドキュメンタリーがドキュメンタリーでなくなる瞬間があって、そこを境に倫理書へと転化する。たちまちノンフィクションを越えて、芸術的な異次元体験へと導いてくれるのである。
 この本は、ドキュメンタリーの観点からは、要言するに、精力的な人びとの連綿たる死の記録だったし、精力の行き着く先に虚しい死のあることを知り、それゆえ、生きているのをやめたくなるような本でもあった。しかし、この生きているのをやめたくなるという異次元への転化は重要で、その芸術的感興があるからこそ、虚しさの底から自らの生きる精力の不足に気づかせ、一念新生して、さらに強く激しく生きてやろうという気にさせるのである。残された人生を懸命に生きようと鼓舞させるのである。すばらしい命の書であった。この場を借りて、田澤さんに深謝する。
 

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1  笑い疲れているが、あしたも笑うであろうということ。
     ・・・・・・・・・・
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―竹内銃一郎(劇作家)―

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