JUGEMテーマ:読書
 
( 早稲田大学・大隈講堂前 合格者写真撮影会後の、会合(プランタン)にて)
 
 合格おめでとうございます。
 
 今年もめでたくこの日がやってきました。すでにこの行事の回数を忘れるくらいになっています。よくぞきみたちも、この難しい大学に、毎年毎年、合格しつづけるものだと感心します。

 一昨年あたりからの慣習で、慶應大学などの合格者もここに会合しているはずですが、年々学際的になっていく大学事情を反映していて、こういう集いも楽しいものだと思います。横浜国大合格者も出席したことがあったと記憶しています。分け隔てなく合格を喜び合いましょう。

 一流大学合格は、人生でいちばんうれしいマグレです。実力で受かるということはまずありません。どこかに、あれ受かっちゃった、という気持ちが残ります。だからこそ、喜びがひとしおなのです。この喜びは年をとるにつれて増してゆくことはあっても、減退することはありません。

 その喜びの上へ、一人ひとり独自の人間的交流の思い出が積み重なります。この思い出がダイアモンドになって、きみを長く生かしめます。大学人としての数年間の人間的交流の思い出は、おそらくその数年間の学問の意義深さを超えるかさばりを持っています。それがあるからこそ、後半生を生きていられるという実感を覚える日が、かならずあるでしょう。その実感こそ、マグレを磨いた結果身についた人間的実力の姿です。
 その実力がない人は、大学を単に学歴の頂点で捉え、出身大学を自慢し、学識の篤さや肩書きの派手さだけで人間を識別するような、薄っぺらい人間として年をとっていきます。学問に会うことはいつでもできます。人に会うことはなかなかできません。そろそろ関心をそちらへ向けてください。
 
 大学の中ばかりでなく大学の外で、また、社会的身分の枠組みの中ばかりでなくさまざまな埒(らち)の外で、人に出会ってください。肩書競争は一段落しました。人間! と呼びかけながら、人間発見の旅に出発してください。

JUGEMテーマ:読書

 
 私は、事実よりも理想を好み、英雄よりも詩人を好み、世間の実際のできごとよりも架空の倫理的な物語を賛美してきた。芸術書を読みはじめると、作者と私とのあいだに信頼感が芽生え、その親密な世界を二人で手を携えて進み、物語の終わりはけっしてやってこないように思われた。ページの途中の物語のほかにはどんなドラマも期待できず、それ以外のものは空しい幕間(まくあい)だった。
 芸術書は彼方の空に見える彗星に似ている。一冊一冊が、光芒を放つそれぞれの一瞬を持つ。叫びを発して飛び立ち、不死鳥のように燃え上がる。その架空の一瞬間を目撃したせいで、本はのちになっても愛の対象になる。そして、帰らぬ燃焼の追憶を抱きながら、光を失ったページを散策する。死んだ感動の一瞬をそこに訪ね歩くために。

 

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