() 自然や人事に心を動かそうとする自分を恐れている。どんな虚(うろ)のような人間でも、落日に心惹かれることがあるにちがいないし、どんな薄情な人間でも、激しい復讐の話を読むか、裏路で仲のいい恋人たちに出会うかしたときには感動しないではいられないだろう。 

 しかし、私の目は、鮮やかな陽の光を退屈で病的な色と感じ取り、復讐を宿痾(しゅくあ)と思い、恋人たちを脳味噌のないクラゲに見立てる。熱狂はひどく人間的なものだ。どんな情熱にも獰猛さがある。愛そのものにも。けっして死に絶えることのない希望を抱きつづけ、それを崇めることは、一見、絶滅や死への狂気じみた崇拝に似ている。しかし、すべてが空しいのは、その人間が空虚だからで、いまもって真摯とは何かを知らない人間だけが、すべてを欺瞞だと思いこむのだ。空しいままでいてはいけない。空しさの底から這い出さなければならないのだ。

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  エピグラフは、旧約聖書の「伝道の書」。
   『すべてのことは人をうみ疲れさせる
   人はこれを言いつくすことができない』

1  笑い疲れているが、あしたも笑うであろうということ。
     ・・・・・・・・・・
  山師にまごうかたなき挙措を、あしたも耳朶を戦かせながら繰り返すであろうということ。
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世界の中心に向かって最短距離を疾走する彼の言葉達は無謀なヘッドスライディングを必要としないのである。
―竹内銃一郎(劇作家)―

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