彼らは機械というものがどんな階級の意志にも区別なく従うように、彼らの意志にもおとなしく従う意志なき奴隷であることを知っている。スイッチやキィを押して奴隷を扱うのに特別な頭脳など必要でないことを知っている。意志を持たない勇猛な奴隷さえ手持ちの駒に抱えていれば、とりわけ現代のように非情な時代にあっては、自分たちだってかつての奴隷時代の政治家や資本家と変わりない恐るべき存在でありえるし、指一本さえあれば、まるで原子爆弾を投下するように、手駒を操って一つの都市を破壊しつくすことさえできるはずだと知っている。だから機械の操縦法に熟達しなければならない。
 新人類とか、PC族とか、ケイタイ猿などと言っても、結局それは、現代という非情のくせに優しい体制のもとに雌伏している独裁者の予備軍からよみがえった不死鳥にすぎない。おそらく彼らの態度の素になっているのは、一種の馴致された潜在意識、つまり――人間とはしょせん半人前でしかなく、だからこそ太古以来ひたすら、頭脳を必要としない定型操作が可能な奴隷を使って、欺瞞と残忍と暴力という有効な支配体制を確立してきたのだ――という意識をいわば本能的に持ち、それを原動力にして永劫復古する見果てぬ夢である。

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